CINEMA ENCOUNTER SPACE VOL.2(‘03年8月)で上映した、気合と器量と実力を兼ね備えた(←なんじゃそら)
8ミリフィルムの小さな傑作『犬猫』が、なんと35ミリ劇場版(2作とも井口奈己監督)に姿を変えて
今春、大阪・神戸・京都の劇場にお目見えとなる!おととしのCES上映の際京都に井口監督はじめ“犬猫”なみなさんがやってきた時からもうリメイク版の準備には入っていたみたいだったが、ついにできたのだ! いや?こいつは春からおめでたい!
この『犬猫』、昨年末の東京公開をへて、2月5日のテアトル梅田を皮切りに、いよいよ関西でもお目見えとなります。

そしてさる1月中旬、井口奈己監督が新聞や雑誌などの媒体取材のため、大阪のテアトル梅田に登場するということを聞きつけ、
「会いに行きたいねー」という誠に勝手なノリで(いややや、『犬猫』、どんどん客入れまっせ!)
関西方面『犬猫』宣伝担当RCSさんにお願いをしてCES取材班(誠一・のりこ)もくい込ませてもらいました。

さぁいろいろ聞くぞー!と意気込んで向かったテアトル梅田で待っていたのは、取材班2人の手に余る状況だった!それは一体!?
まさにそのまんま「リメイク作」の名に恥じぬ(?)堂々の出来を引っさげ、各方面の激評を一身に受けて来阪した井口奈己監督。果たしてその井口監督との再会は、そして取材はどうなったのか? ま、以下をご覧ください。


   
記者に囲まれて質問に応える井口奈己監督。
生涯2度目の来阪とのこと。

誠一:
で、今日は大阪のテアトル梅田に行って、『犬猫』の監督、井口奈己監督の取材だったわけですが、 これが“囲み取材”というやつで、複数の媒体の記者さんが取材対象を囲んで次々に質問を投げかけるというやつでした。


のりこ: はい、案外テアトルて地味なとこにありますね(←なんとコイツは初テアトル!)

誠一:地味って、ロフトのビルだよ。

のりこ: 入り口とか、

誠一:地下に下りるからね。あんまり目立たないのかな?

のりこ:うん

誠一:まあ、そんなにミニシアターが派手でもなぁ。

のりこ: 囲み取材

誠一:囲み取材でした。2人とも初めての体験。

のりこ: はい

誠一:あんなことになると思ってた?

のりこ: まったく

誠一:まわりがキレイなお姉さんばっかで…

のりこ: 見とれて?なんかおしゃれなカフェにいるみたいでそわそわしたけど

誠一:見とれて、というか「ああ、なんかこんなん、不思議ーな空間やなー」と ムシロこの周囲の状況の中に自分がいるという方に気がいっちゃいましたわ。お姉ちゃんたちどんな質問するんかな、とか。 で、なんかちょっとわが身をかえりみて見たら「僕ら、犬猫?」みたいな・・・
(※まわりがキレイなええかっこした人たちばかりなので、社交性のないアホ二人が単にビビっただけです。要するに、ハイ。)

のりこ: 僕ら…

誠一:キミ、自分は違うとでも!?

のりこ: いえいえ かなり道迷ったりするほう

誠一:井口さんもよく迷うって言ってたね。映画の中でも主人公のスズとヨーコは2人とも同じところで道に迷う。

のりこ: うん。(映画の中で)公園でかにパン食べてたりするのもかなりしっくりくる

誠一:スズ(藤田陽子)が。『犬猫』観る前にこの方知ってた?

のりこ: 知らなかった すごくかわいらしい人ですよね

誠一:モデルしたりとか歌ったりもしてるから、いろいろ活動してはりますよ。
「ちょっときいてな」ってミョーに淡々とした大阪弁のラップみたいな曲があるんですが、僕はそれでおぼえてた。最近だと『茶の味』(石井克人監督)の主題歌も歌ってる。
映画もよく出てるよ。篠崎誠監督の『犬と歩けば』とか。ア、これも犬がらみダナ。

のりこ: ふふん かわいくて歌までうたうなんて完全人間ではないですか。うらやましい
演技も普通にいいかんじですよね

誠一:ヨーコ役の榎本加奈子さんはどうでした?

のりこ: テレビとかで見る役柄のイメージがつよくて、だからどうなんだろうと思っていたけどすごくよかった。はじめて見るかわいらしさがでてた。

誠一:ずっとメガネかけてたね。世間のイメージと逆のヨーコ役にってのは監督の狙いだったそうだけど、いわゆる「榎本加奈子」っていうんではなく、ほんとにフツーの女の子になってた。
言いたいことはあるけど言葉では言わない、けど不満とかはすごくオーラを発して表現しているという「ああ〜わかるわかる」っていう感じでした。

のりこ: うん めがねかけてるのもわりとすきだな というか、よく男の人が女の人にめがね外したらもっとかわいくなるよーなんてゆいますよね
わたしはめがねのオンナすきですけどねえ

誠一:「メガネのオンナ」。う?む、やっぱり男の側から言うとフェチっぽく聞こえそうだけど、女の子が言うとそういうニュアンスがないね、ナンデカナ?
女の子から見てああいう家で暮らしたりとかはやっぱり「イイナー」と思うの?

のりこ: 暮らしたいですねとても 男の子もそうではないのですか

誠一:僕はまあ、もうすでに町家で2人暮らしの環境だから。男2人だけど。 「裏・犬猫」。
女のシュミが同じというのでもないから、まあそういう波乱もなく淡々と、なのかな?
(↑※『犬猫』では一軒家に同居する主人公のスズとヨーコが“男のシュミが一緒”というのでひと波乱あるわけです。)
それにしても男のクチから“女のシュミ”というとなんか聞こえが悪いなー。女の人が“男のシュミ”というのとやっぱ違う気がする。

のりこ: でもわたし、かわいい女の子好きですよ

誠一:好きですよ、そりゃあ僕も。

のりこ:  うん。なんかみていたくなる

  誠一:でも、取材に集まってきていたお姉さんたちもなんか、わきわきしていた気がするのだが。
かなり実感がこもった具体的な細部を突いて(質問して)いた。
女の子にはビビットに響く部分がすごくあるんだなーというのがそういう現場を見てなんかリアルにわかりますナ。
ハイソでオシャレで住んでる世界がチャウな〜と思うようなお姉さんでもやっぱりフツーの女の子の気持ちはあるよね。
(※そうです!その通りです!媒体記者の皆さんの名誉のためにも、ココは大きな声で!)

のりこ: あーけど、一緒にいるとそわそわして居心地がわるいんですよ 私自身が、

誠一:(取材に来ていた)お姉さんたち?

のりこ: ああいうおしゃれな人、“カフェにいる人種”。

誠一:すごいカテゴライズ。だけどわかる(笑)。 スズとかヨーコのノリはニュアンスがチト違うのかしら?

のりこ: だから公園でかにパンだとかが好きなんです

誠一:あそこやっぱいいよね。
かにパンだったのか。そういうところ見ているのもやっぱり女の子なのかしら。僕、気付きませんでしたわ。

のりこ: 二人が共有しあっている範囲って他の人に比べて多い感じがする

誠一:範囲って、生活範囲?

のりこ: 趣味だとか自分のなかにあるルールだとかの範囲

誠一:
じゃやっぱりキミもリッパな“犬猫”じゃないすか。僕もそうですが。

のりこ:同居人と?

誠一:いやいや、だからね、女のシュミはかぶってないから大丈夫です!! 気質が、ね。金持ちでもないし、出世もできそうにないし・・・

のりこ:そうですねえ 誠さんはどちらがすきですか

誠一:うわ

のりこ:そういうそぶりでいつもかくしてますよね

誠一:自分がどっちタイプかってので言えば、スズですが…だめっすか?

のりこ:そうですよね。やっぱりかわいらしいし。私アベチャンとなかよくしたい

誠一:あ、僕アベチャン(小池栄子)タイプかもしらん!

のりこ:

誠一:小池栄子の自分の役(アベチャン)に対するコメント読んで、ちょっとウルッてきてしまった。まだ読んでない なんて?

誠一:コレです。小池栄子の現場でひとこと→ http://www.inuneko-movie.com/cast_staff/

のりこ: わあ

誠一:いいでしょ、これ。すごくアベチャンのことをわかってるって感じで、しかもアベチャン (自分の役柄)にこんな言葉をかけられるのはこの人だけですよ。

のりこ: すごい

誠一:けっこう他のキャストの方々のコメントも良くて(詳細は『犬猫』公式HPか劇場パンフレットでチェックしてください!)、『犬猫』の現場ってこういうしっかりした人たちのすごくリラックスしたいい雰囲気の現場だったんだと思う。


終始笑顔で ひとつひとつの質問に受け応えする井口監督。
この日は丸一日取材詰めだったそうな。
この後も新聞の取材がまだ残っていたみたいです。でもそんなそぶりは微塵も見せない!
すっかりやっぱりプロですなー。

のりこ: 井口さんは8ミリのときは毎日泣いてたと言っていたのに、何の違いなんでしょうね

誠一:あ、本読んだんだよね、井口さんの。
(※「犬猫─36歳・女性・映画監督が出来るまで」という本が出ています。128ページ(オールカラー)定価:1200円+税。山田宏一と井口監督の対談も収録!)

のりこ: うん。撮影当初から三週間で終わってしまうんだーて、35ミリの時には

誠一:8ミリ版は何年もかけてるし(それは井口監督がじっくりと現場で考え込んでしまったから、何年もかかってしまった)、周りのスタッフみんなもだんだんバイトやめちゃったりする人も出てきて、それも井口さんにとってはプレッシャーになったという話だったね。
もうそういうところを見ると「やめたい?」と思うんだけど、「完成するまでやめさせん」とみんなから突き上げられて。
でもそれがあってこその今回だし、35ミリ・リメイク版は劇場用製作で予算が限られているから長引かせられないでしょ。
スケジュールはきっちりしとかないと予算オーバーしちゃう。
でもリメイク版観たときはいろんな意味でびっくりしたよ。後からじわじわと来た。

のりこ: ほほう。ふたつ比べてなにが違う>(←のりこさんは8ミリ版を観ていません)

誠一:“内容がほとんど一緒”なんだけど、やっぱり別物で(当然か)、でもやっぱり『犬猫』だよな、という感じですかね。

のりこ: ほう。カメラマンが同じでリメイクだとやっぱり画もほとんど同じなのですか

誠一:構図はほんとにシンプルなもので一貫しているから違いというのではないけど、撮っているものはやっぱり違うと。
それは場所、対象(キャスト)、時間が違うから、同じものは撮れないし、そのときに切り取れる一番よいポジションをキャメラは確実に狙ってるよね。
方法はその時期、状況で変わるけど、監督の撮りたいものをしっかりとキャメラがすくいとっているし、スタッフ・キャストが現場の中でひとつの空気のなかで呼吸できているからできるんでしょう。

のりこ: 演出のこととかは

誠一:8ミリ版の方がアクションで見せ場を作っていく感じがあって、35ミリ版は変な言い方かもしれないけど堂々としてた。
冒頭の方は話をきちんと伝えていくようにシーンを作っていたりもあって、でも説明するというのではない。
で、画面の切り取り方がやっぱりいいんですよ。いろいろ映り込んでいるものが空気をなじませてるみたいな感じで。

のりこ: ほう

誠一:あれ、ビデオで見ちゃわからんね、どの映画でも基本的にはそうなんだけど、『犬猫』の場合これは強く言いたい。本当に映画館で見ないと色んなところがワカラナイ。

のりこ: うん。細かいところが

誠一:リメイク版はビデオ撮りになる可能性もあったというけど、それはそれで見てみたいな。

のりこ: やはり沢山の犬猫(リメイクいっぱい)てことですか

誠一:『呪怨』みたいに(笑)。 もおええか。

のりこ: でもできたらきっと観に行く

誠一:観に行く。

のりこ: あの温度の中にならばなんどでも入り込みたい気がする.空気感が心地よい

誠一:そういうところは撮影の鈴木さんの存在もすごく大きいと思います。
ちゃんとそこにある空気を画面に捉え込んでしまう。その空気を作り出すのは井口監督はじめ、“犬猫”のスタッフのみなさんだけど、それがほんとにスクリーンを見ていて伝わってくるよね。
井口さんが映画の現場に入り始めたのが録音助手というポジションからで、鈴木さんは当時から(今でも)録音もやっているんですね。
だから井口さんが映画の現場を見始めた時に、プロの仕事をする鈴木さんがそこにいて、という感じじゃないかい。

で、その片鱗を見たときがあって、それは8ミリ版『犬猫』のエンカウンターでの上映の時(‘03年8月)。
それまでも8ミリ版を上映するときはすべて鈴木さんの手で映写していたのだけど、エンカウンターの時もそうで、自前の映写機を京都まで持ってきはって、セッティングのときは井口さんが助手みたいになって配線をはわせたりしていたんです。

で、上映になって後半にさしかかると、映写機の巻き取りが弱くなるんで、フィルムに手を添えてスピードに合わせてゆっくりまわしていた。上映中ずっと映写機の後ろで中腰になっている姿に、後光が差していたよ。男前です。

のりこ: 鈴木さんてすごいな

誠一:鈴木さんにも今日は話を聞きたかった。

のりこ: うん。どんなひとなのか気になる

誠一:鈴木さんから井口さんの魅力を聞きたいのです。

のりこ: 聞きたい!

誠一:井口さんはどうでした、実際会ってみて初印象は?

のりこ: なんだか親しみやすい人だなあと

誠一:気後れしない人ですね。

のりこ: うん カフェでなくかにパンな人

誠一:ははは、なるほど。 あ、今日の取材で、おしゃれな東京じゃない東京を舞台にしたかった、って言ってたゾ みんなシブヤに住んでるんじゃないんだから、と。

のりこ: そう!

誠一:世田谷ご出身ののりこさんとしては同感?

のりこ: とてもとても。線路沿いを歩くのとかも良いね

のりこ: 東京に住んでる人にとっての大事なところ、一番落ち着くところを映してくれてる感じ

誠一:そうか。急坂とか広い十字路とか河川敷とか、井口さん自身も「心象風景」と言ってはりましたが、感覚としては具体的ね。
僕(東京人ではない)でも「東京だー」と感じるもの、これもひとつの。で、深夜の商店街をダッシュするわけです。これ、いいね。

のりこ: あ、走ってるシーン私も好きです

誠一:8ミリの時はヨーコだけだったんだけど、今回は2人ともダッシュしていたな。

のりこ: ほう。

誠一:そして僕はミョーに納得した。

のりこ:ほう

誠一:いや、それだけなんですが・・・

のりこ:カメラの追っかけるのが、フレームに出たり入ったりがすごいなと 面白い!
しかも二人とも同じようなタイミングだから、きっと走る速さまで一緒なんだろうなあて

誠一:数少ないFIX(固定)キャメラじゃないショットなんだけど、FIX的な気迫は持ちつづけていると思うんですけど・・・
今日はなんかそういうことを聞く感じじゃなかったかな〜。

のりこ:うん

誠一:これはまた、井口さんやみなさんと会った時に聞こう!

のりこ:会いたいですね。もっとゆっくり話したい

誠一:何でおととしの夏にいなかったんだ、キミは!井口さんたちみんな来たのに。8月でした。

のりこ:あわわ…確か東京帰ってました。あまり京都に馴染みきれずにいたので。井口さんの現場手伝いたい 楽しそう

誠一:あ、いけるんじゃない。次の現場で(←無責任発言)。カレーだ、上手いカレーを作れ!

のりこ:あーけど、 東京じゃ なあ

誠一:じゃ次の企画は京都で、って頼んだら?(←これも無責任)

のりこ:どうしてもやりたい

誠一:やってちょうだい♪

のりこ:京都造形で落第かしら(←のりこは造形大生なのです) 親が泣く

誠一:「留学」扱いにしてもらえば?(←ええかげんにせえ)

のりこ:休学かあ(←オイオイ)

誠一:学費高いしなぁ・・・って、まあそれは置いておけ

のりこ:うん(←ホンマに大丈夫か?)

誠一:・・・結局エンカウンター取材班(誠一・のりこ)は“囲み取材”の間中ボーとしていて1個づつ発言しただけで終っちゃいましたので、今日録音したのを振り返りながらしゃべろうかと思ったんですが、ホント、何しに行ってきたんだコイツラ(僕ら)って感じですけども。

のりこ:もっと話したかった。東京のイメージについて話していたのがすごく共感できた

誠一:ああいう話をする時、公式発言とか用意された言葉というのじゃなく、どこか普通の会話みたいにしゃべってはるのもすごいけど、しっかり伝えるべきところを伝えられていて、聞く方は引き込まれるし、素敵ですね。

のりこ:うん。この人と仲良くしたいなという感じがある

誠一:でも東京公開では男性8割女性2割の客層だったというのは意外だった!

のりこ:そうですね、関西はどうなるんでしょうね

誠一:男8女2はないと思うけどなー。それは今日集っていた各媒体の人(お姉さんたち)にかかっている!
今日の取材、みんなどんな記事になるんだろうか、って自分とこがいちばんヘタレなんですが。

のりこ:女友達と観にいきたい感じだなあ。 それなら男は男とゆきたいのかな。 うーん。

誠一:ま、ということで『犬猫』、みなさん必見ですゾ。どうぞご覧ください!


 
「次回作は暴力映画にしたい!」とのこと。
二作目にしていきなり新境地開拓か?
あの山田宏一に“ラオール・ウォルシュ”とも言わせたアクション演出のキレに期待!

【『犬猫』情報リンク】


★『犬猫』 
http://www.inuneko-movie.com/
↑劇場版『犬猫』公式ウェブサイト。ここで監督やキャストのコメントが読めます。じっくり眺めて、いざ、劇場へ!!


★オンナコドモフィルムズ 

http://www.geocities.jp/ona_kodomo_films/flam.html
↑井口監督や撮影の鈴木氏など、“犬猫”な方々によるサイト。
日記がタクサン!撮影小話や写真もめっちゃある!『犬猫』鑑賞後に、ハマっちゃってくださいな♪