『どんてん生活』『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』で独自の乾いた笑いとオフビートさで日本のカウリスマキ、はたまたジャームッシュと例えられた山下敦弘監督が、兄妹の禁断の恋愛を描いた伝説の漫画の映画化『くりいむレモン』を挟み、初の大型映画に乗り出した!なんと女子高生が文化祭でブルーハーツをやるというこれまでの山下ワールドからは想像しにくい超ストレートな青春映画。
更に韓国女優ペ・ドゥナ(『ほえる犬は噛まない』『子猫をお願い』)を迎えて放つ待望の新作『リンダ
リンダ リンダ』公開直前若き天才監督に突撃インタヴュー!
ではまず初めにホント素晴らしい映画をありがとうございました。
最初僕がこの企画をお聞きしたときに「山下さんでブルーハーツって大丈夫なのかな」って思ったんですが。さらに企画のタイトルが「ブルハザウルス※1」で…。最初この企画が来たときどうでした?
<山下>もうまったくそれと同じ反応で(笑)。最初はみんなに愚痴ってばっかり言ってましたね。いや、断るって発想はなかったんだけど、ずっと迷ってました。
それはいつぐらいの時期ですか?
<山下>それがちょうど一年半ぐらい前−一昨年の12月ぐらいにお話をもらったのかな。
「どうですか?」って言われてプロデューサーの根岸さんと何回か会って内容とか話していくうちに、自分が参加するっていう実感がないまま「こうしたらおもしろいんじゃないですか?」とか適当なことをバンバン言ってて。そういう中で気付いたら転がりだして、じゃ腹くくってやろうかなと。
ブルーハーツって自分がファンとかファンじゃないとかというより、僕らの世代は当然聞いてるし頭に残ってて、最初、そのブルーハーツにビビってましたね。ある意味、ブルーハーツってあのバンド自体が熱狂的なファンもいるし、伝説を作ちゃってた。前のつげさんの原作をやるのと近い感じがあって難しいなぁっていうか、ビビってたとこが大きかったです。
でもつげさんの『リアリズムの宿』の場合はなんとなくわかるんです。僕らの『どんてん生活』と『ばかのハコ船』からつげ義春さんの原作っていうのはつながるところがあるとは思うから。まぁ「前の作品を観てもらって(この企画は)きたんだな」っていうのはあったんですけど『リンダ
リンダ リンダ』(以下『リンダ〜』)に関しては『リアリズムの宿』(以下『リアリズム』)を見たプロデューサーが僕で行くってなったときに、よく『リアリズム』から決断したなーって(笑)、というか真逆じゃないのかと思いました。
だから最初は半信半疑というかなんで僕なんだろうって。そのときはまだ大阪に住んでたんで映画の仕事って実際ないし、もらっただけでありがたかったんですけど。個人的にはすごく悩んだんだけど映画が撮れる環境があるのに断る理由は全くないよなって。でもそこにジレンマはありました。だから最初の1,2ヶ月はいろんな人にどうしよう、どうしようってなってましたね。
ちょっとベタな質問になっちゃうかもしれませんが『リアリズム』までは山下節っていわれるような題材がメインの映画じゃないですか。それこそ『どんてん(生活)』なんてそれしかない映画だと思いますし、『リアリズム』になると物語を描くなかで、いかに効率的にそのポイントを狙えるかっていうすごく計算された映画だなって思ってるんです。でも『リンダ〜』になると確かにW山本さん(山本浩司・山本剛史)も出てきはするんですが、全体的に全くストレートな青春映画で。そこの転換には勇気いりますよね。
<山下>まぁ『リアリズム』をやってちょっとやりすぎたかなっていうか、やりきった感はあったんです。いわゆる山下節とか山下ワールドってちょっとずつ周りで言われ始めて、アキ・カウリスマキとか引き合いに出されたりとか。『リアリズム』では自分でもそういう風に言われるなって分かっててやっちゃったところがあった。もちろんそれを徹底してやるっていう充実感もあったんですけど。
そのあとに『くりいむレモン』がありますよね。
<山下>そうそう。だから『リアリズム』以降は山下節っていわれることとはまったく違うことをやらなきゃなっていうがあって。 そのときにきたのが『リンダ〜』と『くりいむレモン』だったんで挑戦って言う意味でもやろうと。同時ぐらいに二つの企画をいただいて、失礼な話、『リンダ〜』って大きなバジェット(予算)だから『くりいむレモン』のあとに『リンダ〜』っていう流れがいいんじゃないかと思ったんです。
そのなかで『くりいむレモン』をやってみてどうだったんですか?
<山下>うーん、いままでと全然違う映画なんだけど、あれは撮影1週間だし、予算も少ないし、いろんな意味で制約があってふたを開けてみると、シナリオ
向井(康介)だし撮影 龍ちゃん(近藤龍人)だし、編集 元木(隆史)さんだし、音楽
赤犬だし、照明は『鬼畜(大宴会)』の橋本(清明)さんだし、ほとんど(大阪)芸大の人間で固めて結局自分たちのやり方でやっちゃったって感じですね。
正直、僕が『くりいむレモン』を観たとき、ある種の不自由さを感じましたね。
<山下>でも密度としては1週間しかない中でかなり濃かったですね。
『リアリズム』は1ヶ月間ぐらい撮影できて、そのなかで煮詰まるだけの時間もあって、それが映画にも出てると思います。そのときも例えばカメラマン・監督っていう役割分担はしてたんだけど(多分僕が甘えてたと思うんだけど)、やっぱり特に僕と向井と近藤って同級生だし友達っていうのが強かった。その友達感覚の延長というか自主映画のときの延長という感が拭えなと思いますね。
だから『くりいむレモン』ではそれを1回切って、分業をしっかりした。あと初めて画コンテ割んなかったんですよ。僕はすぐ画で書いちゃう癖があったんだけど、ロケハンのときにこういう感じでとかっていう打ち合わせだけをして、あとは近藤くんにまかせて、あとは編集でどうにかしようっていう。そういう作り方をしたのも初めてでした。すごく自分のなかでは監督としてやった感じはありましたね。
そうですね。もちろん山下さんが監督なんですが、なんというか「真夜中の子供シアター※2」の作品という感じもしますね。
<山下>『くりいむレモン』の段階ではまだ割り切れてない部分もあったんですけど、結局そこは割り切るしかないなと。絡みのシーンは絡みのシーンとして撮らなきゃならないしとか、どう女優をかわいく見せるかとか、いままでは考えないことも考えてやってましたね。いい経験になったな。あと撮影1週間、1ヶ月で編集・音入やってすぐ公開して、すぐビデオになって、そういう短期間で撮った映画も初めてだったし、自分のなかでまとまる前にでちゃった映画だからいまだによく分かってない部分もあります。
じゃ、『リンダ〜』の話に戻りましょうか。どの段階でそのもやもやした状況から「これでいけるわ」っていう確信に変わったんですか?
<山下>んー…、確信ねー…。確信っていう確信は実は最後までなかった気がしますね。でもこの企画自体、ブルーハーツを演奏している女の子を見ているだけである程度はいいんですよ。でもそういう映画にはしたくないなって思ってキャラクターとシナリオをきちんと練り上げようっていうことにはすごい気合入れてやったんです。確信は結局ないんですけど、それは多分プロデューサーとかにもなんとなく漂ってて。可能性を広げたのはペ・ドゥナっていう女優をキャスティングしたときに一気に具体化したというか立体的になって、そこから全員が動き出したっていう感じは僕が見ててもありました。あれはこの映画のなかでの突破口でしたね。
それはペ・ドゥナだったら演出できるっていうことだったんですか?
<山下>いや、そうじゃなくって…自分でもペ・ドゥナをキャスティングするっておもしろいなっていう…。
それはわかるんですが。でも山下さんが女子高生を演出するって最初、めちゃくちゃ怖かったんじゃないかなって思うんですが。
<山下>怖い怖い(笑)。
(笑)そこでペ・ドゥナで変わったっていうことならどこがどう変わったのかなって。
<山下>まぁペ・ドゥナが決まる前に、香椎由宇さんと関根史織さんは決まってたんで、彼女たちとはちょくちょく会うようにしてて。オーディションにも来てもらって、一緒に審査員みたいな感じでやってもらったり。単純に僕自身が若い女の子に慣れていこうって…。
それおもしろいですね(笑)。「若い女の子に慣れていこう」って。
<山下>いや、ほんとに。会ってみないとわかんなかったから。
それまではやっぱり「女子高生」という記号というか…。普段の生活で女子高生と関わりないですからね。
<山下>最初は記号というか、それぞれこういう性格の子っていう文字で起こしても単なる字でしかなかった。ちょっとクールな子、おっとりした子、恋愛好きな子っていう感じでしかなくって。向井が書いてくるシナリオでも語尾に「〜だもん」とかって入ってて(笑)。『「だもん」か〜、「だもん」って言うよなー女の子』って思いながらも違うんじゃないかなーって感じで(笑)。
(笑)じゃそれは撮影までには解消されてたんですか?
<山下>だけどやっぱり違和感はずっとあって。でも自分が持ってる違和感っていうのは人が気にするほどのものでもなかったのかなって今は思です。リハーサルとかオーディションのなかで自分にとっての良い悪いを見つけていって。それぞれどのキャラクターにも撮影入る前までは疑問があったんですけど。
最終的 にはリハーサルを何回も積んでるから、セリフ自体は彼女たちの頭の中にあって、現場でやってるときにはそれが当たり前になってた感じでした。時間をかけて彼女たちと準備をしてきた中で、俺もそれが染み付いちゃってた。だから現場もスムーズでしたし。
なるほど。4人いたら4人のキャラクターがそりゃーあるわっていうところまでリハーサルをやってからの撮影だったんですね。
<山下>そうそう。全く畑の違う4人が集まってるから。
無理にキャラクタライズしてない感じですよね。
<山下>もちろん現場で微調整はするんだけど。香椎由宇ちゃんなんかは隙がないから。あんな子が学校にいたら大事件みたいなキレイな子だから、彼女が嫌味な女の子にならないようにとか。この映画の中に一人悪者みたいな凛子っていう子がいるんだけど、撮影してくとその子が逆に切なく見えてきて、恵(香椎由宇の役名)が悪者に見えてくる瞬間とかあって。でも作品として恵のほうが切なくしないと駄目だから、バランスを取ったり、そういう微調整はしましたね。前田亜季ちゃんはやっぱりうまいから、「うまいなぁ!」とか思いながら。
逆に関根さんは毎回違う感じだったりとか。ペ・ドゥナも毎回微妙に違うんだけど、だからそれぞれ演出の仕方も違ってくるというか。気付いたら僕も「この瞬間」っていう感じじゃなくってリハーサルとか準備のころから繋がってきちゃって。キャラクターというかみんなが。
そうですね、そういう映画ですよね。文化祭前日1日と開催3日間だけの話ではあるんですが、この子達の学生生活がそのままそこにある感じで。
<山下>芝居に関して『リアリズム』って長塚さんと山本さんを大雑把な順撮りのなかで撮影していったんですけど、あの二人はどんどん息があっていく感じがすごくわかった。『リンダ〜』に関しては最初から役者の雰囲気は出来てて、映画の構造上段々楽器がうまくなっていく感じは撮影しながら変化が出たとこなんだけど、キャラクターに関しては最初から全員がかみ合ってた感じがありました。
じゃ、話がずれるというか戻るかもしれないですが、「真夜中の子供シアター」というホームの制作体制から離れて撮るということについて。例えばカメラマンが近藤さんじゃないとか。向井さんは現場には来てたんですか?
<山下>何回か来てましたよ。
でも、べったりではないんですよね。『リアリズム』まではその3人が中心っていう形だったじゃないですか。でもそうじゃなくなったと。それによって変わったこととか、見えたこととかはありますか?
<山下>や、もうすごい勉強になりました。まぁ『くりいむレモン』でそういう雰囲気は掴んでたし、『リアリズム』のときは反省点がすごくあって。僕・向井・近藤っていう3人が暴走しちゃったから、スタッフがどんどん疲れていくのが見えたし。映画としては徹底してやった感じは残ってるんだけど、現場としてはどうかと。僕にしてもあんなにつらい現場はなかったから(笑)。その反省点っていうのが僕・向井・近藤っていうのが現場ではしゃべんなくって。それは撮影前に全部準備して現場では打ち合わせをやらないで、それぞれ勝手にやってくれって感じで、ある意味、暗黙の了解があって現場での具体的な意思疎通がなかった。
『リンダ〜』では初めての人が集まってやるなかで、やっぱり話さないと現場が動かない。現場で打ち合わせするっていうのがすごく重要だなって思った。『リアリズム』は打ち合わせに時間は割いてないんですけど、結局時間かかったんですよね、めっちゃくちゃ。絶対的に変わったのは『リアリズムでは』完全な画コンテがあって、その約束事のなかで一気にみんなが動くって感じだったんですけど、『リンダ〜』は集まって、「じゃ、まず芝居見よっか」ってとこから始まる。
スケジュール的にもゆとりはあったんですね?
<山下>というかやり方の違いだよ、完全に。画コンテも割ってないし。最初僕も不安でしたけど。前の日になんとなくカメラマンとカットは割るんだけど、だけど朝芝居見て「あ、こうなる。じゃこっちにカメラおこう」とかっていう、その新鮮さがね、よかったですね。しかも撮影中にラッシュ1回しか見なかったら、自分のなかでどういう映画になってるのかわかんなくて。モニターもほとんど見てないし。そのへんはもうカメラマンや照明を信頼するしかないなって。まぁベテランの人だから安心してやってました。
でもそれもやっぱり単純に予算の話とかにもなりませんか?『リアリズム』のときだと事前にカットを割っとかないと、スケジュールがタイトだからっていうのは?
<山下>いや、でも『リアリズム』でも同じ1ヶ月あったし、時間はあったんですよね。単純にやり方の違いだと思う。多分、僕も向井も近藤もビビってたんですよね、あのときは。だからコンテ割ってたんですけど。その時点でほとんど出来上がりの映画って見えてるんだけど、現場で何かに対応するっていうことでは余裕がなかった。
そういう意味では現場をこなしてるベテランの先輩たちとやることで余裕がうまれたから、芝居に関してもそれがすごく出てる感じはしますね。だから彼女たちに現場の話を聞くと「楽しかった」とか「早く終わったから夜は遊んでた」とか、そういうのも映画に全部出てるなって。
なるほど。
<山下>だから結局、映画って毎回やる相手によってかわるんだなって。『リアリズム』はあれでよかったと思うんですよね。ああいうつげさんの漫画を…まぁつげさんが映画を支配した感じもあるんだけど、なにやってもどんどん落ち込んでいくっていう(笑)。そういう空気が鳥取にもあったし、つげさんの原作にもあったし、俺らスタッフ内にもあった。でも今回はそういう映画じゃない。だから撮るものによってスタッフはどんどん変わっていくべきなのかもしれないし。それはすごく思った。
例えばこれを近藤くんのカメラでやってたら、もっと鋭い映画になったと思うし。近藤くんが35mmをやったことがないっていうテクニカルな面もあって今回はカメラ助手の4thに回ったんだけど、そうじゃなくって近藤くんが撮る『リンダ〜』はもっとひりひりしたものになったと思うんだけど、今回はそうじゃなくってよかったなと思う。まぁ近藤くんとは現場ででも何回かしゃべったんだけど一箇所、俺のそばに来て耳元で「今のカットいいね」って(笑)。それだけボソッと言って消えていって(笑)。
いい話ですね(笑)。
<山下>現場ではほとんどしゃべらないんだけど、夜ホテルの外とかでボーっとタバコ吸いながら「どお?」とか言ったりして。
前に山下さんの作品について何か書こうと思ったんですが、なかなか書けなくって。それが今回、これだけいろんなところに批評が書かれてて。そういう状況に対してどうですか?
<山下>やっぱり、多く書かれてるってことは単純に映画関係者にたくさん見られてるっていうことだと思う。まぁ『リンダ〜』から見た人と『どんてん』から順番に見てる人の感想はまた違うんだろうけど。逆に言えば数が多くなると批判も出てくるっていうか。
批判されてるのってありましたっけ?
<山下>あります。まぁそういうのへこむけどうれしいというか、これまでの作品に比べてそれだけたくさんの人が見てるんだっていう。それは多分、ブルーハーツっていうのもあるかもしれないし、ペ・ドゥナが主演っていうところもあるかもしれない。映画は観てくれてナンボだから、今回は、これまでの客層と全然違うから、なんていうかビビりますよね。
そうですよね。これまでだと、僕もそうですけど山下敦弘の新作っていうことで映画館に行ったりしてたんですが、この映画を観に来る人はそういう人たちだけでは絶対ないですからね。
<山下>『リアリズム』のときも怖かったけど、つげさんのファン層っていうのと自分の映画の観客層って近いところもあるかなって(笑)。ちょっと特殊なものを観に来る人たちっていうのがあるから。だけど今回は、普通って言ったら変だけど逆に言えば映画に興味のない人も来るだろうし、ブルーハーツで来る人も当然いたり、不特定多数な要素もいっぱいあるから結構ビビるっていう。
これは最大限の賛辞の言葉としていうんですが、観たとき「あっ、ただの映画だ」って思いました。でもそのただの映画っていうのがどれだけすごいことかって。
<山下>特殊じゃないってことですよね。でもそのへんが怖いですよね。もちろんうれしいんだけど。そういう人たちを巻き込めたら…巻き込まないとまずいし。ブルーハーツで女子高生でって…、ねぇ(笑)。そのへんで見てもらわないと。「ジェームス・イハのファン」だったり、「ペ・ドゥナのファン」だったり「僕の映画を観てくれてる人たち」だけに向けた映画だったら意味ないから。今回はいろんな人巻き込まないと。でもその分怖いですよね。初めて見られる感じはするっていう。高校生のカップルとかも観に来るだろうし。
大きなバジェットの作品を作るにあたって制約がいっぱい出てくるってイメージがあるんですが、そのへんはどうだったんですか?
<山下>うーん、今回はやっぱり企画があったから。最近の2本はそうだね。『くりいむレモン』も絶対エロは入れてくれっていわれたし、今回は企画が「ブルーハーツ」だし「女子高生」だし「コピーバンド」だし。
じゃ、「ブルーハーツ」と「女子高生」と「コピーバンド」があればあとは好きにやっていいよってことだったんですが?
<山下>それはそうなんだけど、じゃ実際にキャストを選ぶときに山本さんみたいな女子高生を選ぶわけにはいけないでしょ(笑)。それは企画の雰囲気で分かるから。そのへんは僕もさすがにバカじゃないぞというか(笑)。新人なりにいろいろ考えてますよ。それと今回わかったんだけどやっぱりかわいい子は観てて飽きないですよね。
そうですよね。そりゃブルーハーツはいいし、女子高生もそりゃーいいよっていうね(笑)。
<山下>(笑)そうそう、一周して「そりゃーいいよ」ってなった。最初は「これでいいのかな、これでいいのかな」って疑いから始めて、撮影終わったころには「あ、これでよかったんだ」って(笑)。女子高生が制服着てブルーハーツ演奏するっていいんだなーってやっと最後に答え合わせ出来たっていう。そういう意味では紆余曲折あったけど最後はシンプルな最初の企画に戻った感じはあった。自分の中では変な映画だなって思うんですけどね。
他の人に観てもらって普通の映画だって思ってもらえるのはうれしいんだけど、自分で観るとすごくクネクネした映画だなって。『青い車』の奥原さんにも言われたし。「山下っぽいところと企画の混ざり具合が変だよね」って。
オープニングとかって変だなって思いますけどね。
<山下>そうそう、一気に客を不安にさせるでしょうね(笑)。編集でかなり切ったんだけど、ちょっと爪あとが残ってるところはある。やっぱり最初のビデオを撮ってる学生たちとかに自分の居場所を設けてたように思うんだけど、そういうところは向井と脚本書いてて楽しいし楽だったけど。最初、4人の女の子が見えなくて不安だったからああいうのうぃ入れたけど、繋がったときに観て充分4人の女の子がかわいかったしおもしろかったから「あぁ今回はこういうのはいらなかったんだな」って思って結構短くつまんじゃった。
あれは今までの山下さんの映画の作り方が出てるなって思ったんですが。
<山下>そういうのを入れてプチ反抗してみました。
じゃこれは1ファンとして聞くんですけど、今回これだけ大きなバジェットの映画を撮られた訳ですが、一方で小さな作品というか、いわゆる山下節といわれるような作品も続けていきたいっていうのはあるんですか?
<山下>山下節っていうか、別にそんなのはどうでもいいと思ってるんだけど。単純に僕と向井が企画をたてて、オリジナルでシナリオ書いて、近藤が撮影でっていうのはやりたい。もしかしたらそれが山下節ってことになるのかもしれないけど。
で、やっぱり主人公は山本浩司さんだったりっていう
<山下>そうそう。ってうか山下節っていわれてるけど、山本節でもあるから(笑)。山本さんが作った空気が大きいから。
理想としては大きなバジェットで撮ったあとに、小さな作品を撮るっていうのが…。
<山下>去年の『くりいむレモン』と『リンダ〜』の2本の落差が(笑)。だけど同じ映画っていう。それはすごく実感としていいなって思いますね。同じように公開されて同じように評論家の人たちは見るし。観客の層は違うかもしれないけど。逆に『くりいむレモン』も僕の映画を観てなかった人が観た映画だから、それはすごい広がったと思います。要は組む役者さんによっても山下節って変わるから。妻夫木くんで『リアリズム』やってもしょうがないし。山本さんで3本やっちゃたからそういう風に観られるのはしょうがないけど。『くりいむレモン』撮って『リンダ〜』撮って、山本さん主演の映画もまたいつか撮りたいけど、しばらくはお互い別でやっていく中でまた必要になればやればいいだろうと。
でもね、山本さん主人公だったらああなっちゃう(笑)。誰でもそうだと思う。『リアリズム』のときなんて演出してないし(笑)。答え合わせみたいな感じだもん。シナリオあって二人で見て「そうそう、そういう感じです」っていう。
毎回映画って違いますよね、まだ5本しか撮ってないけど、全部違う。戻りたいとは思わない。まぁ向井が照明やることはないと思うけど(笑)。向井もそういうときには現場に戻ってきてくれればいいですね。
そうですね。それもこれからも見たいっていうのも僕らの正直な欲望ですね。撮影やるときはいつでもかけつけますよ。
とにかく『リンダ〜』はヒットして欲しいですね。これで楽しめなかったら一体なにがおもしろいんだってわからなくなりますよ。
僕らも微力ながら宣伝協力させてもらいます。今日は長い間どうもありがとうございました。
<山下>いや、こちらこそありがとうございました。
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