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誠一
―ということで、年明けてちょっと遅くなっちゃいましたが、2005年の僕らの活動のまとめと、まだ3月以降何も決まってませんが、今年、何となくの傾向と対策を私田中誠一と青木くんとでお送りします。
まぁ、去年は何人かでガヤガヤやったんですが、今年は青木くんと僕と二人で、というのは―
青木 単にCINEMA ENCOUNTER
SPACEの活動に全体を通していちばん携わってたのが僕だったってことなんですけどね。
誠一
04年と較べてがらっと運営の体制とか周囲の状況の変化が大きかったね。町プロ(町家プロダクション)の制作やほかのイベントとかのカラミもあったし。CESとしては淡々とクールに活動をこなしていければよかったんだけど、実際はそうはいかなかった。
青木 そうですね。僕は全く町プロの制作にタッチしていなかったから、本当にいつの間にかこうなっていたって印象が強いです。 |
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| CINEMA ENCOUNTER
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1:CINEMA ENCOUNTER
SPACE vol.16 「自主映画の歪(いびつ)なる挑戦3/黒沢清 シネマを設立する」
誠一
というバタバタもあって、05年は4月が初動の開催となりました。
CINEMA ENCOUNTER SPACE vol.16「自主映画の歪(いびつ)なる挑戦3/黒沢清
シネマを設立する」。
『地獄の味噌蔵』はずっとやりたいやりたいと思ってたけども、CO2で大阪に来た黒沢さんをつかまえてインタビュー記事ができたことでようやくカタチになったような。
黒沢さんには打ち上げの飲み会の後、ホテルのロビーで深夜2時から話をさせていただいて。
青木
あのインタビューは結構時間がかかったんですよね。2時間くらいだったかな。あんなに遅い時間だったのに丁寧にインタビューに応えてくれましたよね。迷惑かけちゃいました。申し訳なかったです。
誠一
パンフのボリュームが70ページくらいにふくれあがっちゃって、編集作業の収集がつかなくて大変だった。製本時のホッチキスどめ(CESパンフは取材から製本まですべて手作り)も気合を入れて。読む人も大変(苦笑)。読んだ人の感想はどうなんだろうか?
青木
でも、いろんなこと聞けて面白かったですよね。「敵は他にいるはずだ!」って言葉が出ましたし。
誠一
それにしても黒沢清監督に「『ドッペルゲンガー』の風景がスカスカで」と言った青木くんには僕もビビりました(笑)。
青木
でも本当にそうじゃなかったですか?まったく悪気はないんですが…。ああいう『ドッペルゲンガー』みたいな風景ってあまり観たことなかったんですよね。驚いたんですよ。意図してああいう風景を選んだとしか思えなかったんです。
誠一
いや、聞き方があまりに単刀直入だったんで、それに僕も黒沢さんも面食らったっていう(笑)。
青木
確かに黒沢さんも驚いてましたね。いつもインタビューの時はああいうテンションになってしまいます。高橋洋さんのインタビューの時もそうでした。いきなり前日にあったテレビの心霊特番の話から始めてしまって。高橋さん戸惑ってましたね。
誠一
下ヨシコ先生!高橋さんもちゃんと知ってたから大丈夫!
青木
下さんは有名ですよ。岐阜の幽霊マンションを鎮めたのも下ヨシコ先生ですし。それにしても、高橋さんの『ソドムの市』って何だったんでしょ
…
誠一…まぁ詳しい内容については、知らない人はパンフレットを買って読んでやってください。(こちらにお問い合わせください→
en_space@hotmail.com)
で、企画としてはパンフに力を注ぎすぎて、上映企画としてはもうちょっとできたかなー?という感があったんだけども、再度あらためて「これだ!」という黒沢清企画をかっちりやります!…と黒沢さんにも伝えましたし、ここでも宣言しておきましょう。
ヨロシク。 |
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2:CINEMA ENCOUNTER SPACE vol.17
「自主映画の歪(いびつ)なる挑戦4/井土紀州;A STRANGER on AGITATION-PRODUCTS!」青木
次にやったのは井土さんの特集でした?
誠一
CINEMA ENCOUNTER SPACE
vol.17「自主映画の歪(いびつ)なる挑戦4/井土紀州;A STRANGER on
AGITATION-PRODUCTS!」となる。
…あ?、この開催が7月頭だから、前回から2ヶ月強経ってるんだな。
いろいろ年間の企画ラインナップは考えてたんだけど、なんやかんやで後手になったり撤回になったり、とにかく今年はこのあたりでシステマチックな活動が無理だという流れが決まってしまった。
この企画も井土紀州監督『LEFT ALONE』の関西公開の段取りと連携しながら進めていて、最初6月頭に…という話だったんだけど、結果的に京都、大阪の各劇場と足並みを揃えるのに時間がかかったということかな。そういうあいだにスパッと挟める企画を考えてサッと仕込めればいいんだけども、そういう展開がなかなかできない。
青木
結構ズバッと斬りますね。でも確かにそうです。僕はこの頃から誠一さんにプログラムのことを振られてきました。
誠一
僕が『百年の絶唱』をプログラムからあえて外そうとしたらみんなから猛反対喰らって、「それではダメだ」と叱責され、「そうか…」と痛感したというワンシーンがあったんだけど、多分誰もおぼえてないだろう(笑)。「井土紀州VS佐藤真」の言い出しっぺは木村だし。「ダメ元でちょっと言ってみました」って感じだったけど(笑)。
だから僕だけが無理くりひねり出してできることじゃないんです。いつも怒られてばっかです。
青木
なるほど。でも結果的に『百年の絶唱』は外さなくて良かったですよね。お客さんも入ったし。この作品を入れなきゃ『第一アパート』や『ヴェンダースの友人』に接点が見出せなかったかもしれませんね。そういえばこの時に岩佐寿弥監督の『眠れ蜜』も上映されたんですけど、井土さんも佐藤さんもコメントしづらそうにに見えたんですよ。あれってどうしてなんでしょうかね。
誠一
『眠れ蜜』に対して?というより、佐藤さんにヒール(悪)役になっていただいて、井土さんに応酬してください、とこちらがコーディネイトをしちゃったから、トークの最初、緊迫感が漂ってたでしょう。それじゃないかな。気鋭の作家二人をわざわざつかまえて「バトルせい!」というとても失敬な企みなわけです。その節はどうもすみませんでした(泣)。
あの時のことで憶えてるのは、翌日のスガ秀実氏来場の打ち上げのとき、井土さんに「もうそろそろ客席を満杯にすること考えなあかん」と言われたことかな。いちばん痛いところです。
これでも集客を考えた結果の企画構成なんですけどね。企画力がまだ弱いのか。なんか新年早々ネガティブになってきてるな…。
青木
ダメですよ、ポジティブに行きましょう。
でも、2日間で集客の偏差が結構あったのは読めませんでした。2日目のテーマが「反逆しなきゃだめですか?」で。お客さんがテーマを見つけにくかったのかもしれませんね。参加型のティーチインでしたし。
誠一
2日目は立命館大でやってた“カルチュラル・タイフーン”とかとかぶったり、いろいろな影響があったと判断してます。1日目と宣伝のポイントを変えてやったほうがよかったのかな?
主催者が全然アジれてなかった(苦笑)。
でもスガさんは気のいい人でした。ちゃんと『LEFT ALONE』の中と同じシャツ着てきてくれてたし。
青木
あ、それ気づかなかったです。
この企画が終わってからは、造形大では今やっているドイツ映画企画まで随分と時間があきましたね。
誠一
造形大で上映をやるのは、05年はこの上記2回と、その後はいま続行中のジャーマンシネマ・シンドロームのみ。ほんまやね。DLPもあんまり使ってないなぁ。ジャーマンは全部フィルムだし。 |
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3:CINEMA ENCOUNTER SPACE vo.18
新京極映画祭連携企画『台風クラブ』
青木
その間にあったのは「NDUレトロスペクティブ」ですか。でもこれは相当な企画ですよね。おそらく今まで誰もやっていないでしょう。
誠一ええと、混乱するところだけれど、ちょっと整理して。
CINEMA ENCOUNTER SPACE主催の企画としては次の開催が、造形大から飛び出て、11月、弥生座でのCINEMA
ENCOUNTER SPACE vo.18新京極映画祭連携企画『台風クラブ』になります。
青木
『台風クラブ』がありましたね。忘れちゃいけないところを忘れてました。
誠一
これがまた期間が空いちゃったんです。理由はいろいろですが、この間にあったことは以下のとおり。ほとんど僕の個人的な事情ですが…。
1・真夜中のシネマテークをやった(※上記「NDUレトロスペクティブ」のこと。詳細は以下に)
2・うちが某撮影隊に占拠されたため、猫の世話を放棄して東京に逃げた
3・山形国際ドキュメンタリー映画祭に行った(労働)
4・北九州で一週間野営した(実話)
5・名古屋の繁華街で道ばたの中国人ポン引き嬢に10mほど引きずられた(なんとか逃亡成功)
ちなみに2の某撮影の成果はコチラ(http://www.co2ex.org/co2_no2/kikaku/hano.htm)2月末にHEPホールで観ましょう。
青木 しかしあの上映は熱気がありましたね。今までにない緊張感でした。
誠一当サイト管理人のコメント転載します。
「映画館で映画を見るという事を思い知らされました。ビデオで見たときには分からなかった感動があってよかったです。」
青木
そのとおりです。映画館で映画を観るということは、ああいうことなんだと思います。
誠一夕方から天候が崩れて、夜には結構な雨となり、普通だったら「もう何でこんな時にかぎって」となるところだけど、今回は「きやがったな」と。
上映自体は、スクリーンセンターピントのボケや、巻替わりごとの低周波ノイズがでたりなどの問題があって、僕もそれには気づいたんだけど弥生座という劇場なので自分でピント動かすわけにもいかないし…というのは言い訳です。映写室に言いに行けばよかったんだが、あの場を一歩も動きたくなかったというのが本音。ごめんなさい。
その何十秒何分がもったいなくて。
青木
僕も映写的な違和感は感じてましたけど、なんかそれどころじゃなかったですね。
『台風クラブ』にしびれてました。
誠一明らかにスクリーンからはみ出した磁場の強さが、その場を離れることを拒ませたのです。なんか神秘主義っぽい言い回しになってますが、ほんとにねぇ。
パンフはどうでした?
青木
はじめてCESがオリジナルな視点を出せたパンフだったと思います。
誠一あら、初耳。
青木
今までの企画はどうしても「便乗」感が否めなかったと思うんです。でも、この『台風クラブ』の企画は突飛だったんです。『台風クラブ』という作品自体がそれまでとは違う着地点を見つけることが出来た感じがするんですよね。
誠一「便乗」はいまでも企画たてるときにはそれが前提となってしまっているな。地方の問題とか、造形大でやってると京都の街中からも遠いしね。「連帯」になればいいんだけど、そこまで行ってないから「便乗」に留まっているんじゃないかしら。まぁ他にも原因はいろいろあると思うけども、確かに『台風クラブ』は何のバイアスもなくスッと企画的にも納得できた感があったよ。
でも山下さんと稲川さんに『台風クラブ』やるんですよねぇと話して、さてどう話そう、というところでは内心具体的に何にもなかったと言っていいです。
青木
稲川さんは最後まで消化しきれてなかったですね。でも、どこか腑に落ちる感じもあったようにも見受けられましたけど。
誠一チラシにも「勘です」と書いてしまって「おいおい」って突っ込まれたんだけど、そのあたりの漠然とした何かが、僕らの中でもいまようやく具体的に浮き上がりつつあるというだけでも収穫は大きかったと思ってます。
青木
そうですね。作品を見つけていく面白さと喜びが味わえましたね。
誠一僕らが本気なのかどうか、まだ稲川さんにも伝えきれていなかったのかと思う。多分。ぜひ稲川さんに勇気を出して聞きたいけどね。
青木
山下さんのインタビューはどんな感じだったんですか?どこかまだ掴みきれてなかったような気がしたんですけども。
誠一
山下さんはまだ意識としては未整理なんだと思います。二人で言葉を探るようにビール飲んで、血中アルコール度数だけがあがっていくような。いや、山下さんを困らせてたのは僕ですけど。
青木
やっぱりどこかで世代的に感覚が途絶えてしまったところがあるんですかね。
誠一
『リンダ リンダ リンダ』はちょっとこのサイトでもアオりすぎたかな?と今にして思ってるけど、『リンダ
リンダ リンダ』があったから『台風クラブ』が浮かんだのは事実だったし、嘘は言ってないつもりです。どうなんでしょう?
ああいうふうに煽っていくことで逆に山下さん自身にプレッシャーかけることにもなってるし、『台風クラブ』を今上映したことは『リンダ
リンダ リンダ』に対する批判にもなるんだということなんだけども。
青木
『台風クラブ』と『リンダ
リンダ リンダ』ってはじめて聞かされたときは驚きましたね。
でもこの二つのどこがどのように繋がるのか、僕も具体的にはまだ掴みきれてません。
誠一
どこがどのようにつながるのかというよりは、こういう企画的発想ができたということですでに僕らには具体になっているんじゃないかしら。
たとえばそれは、個人的に僕が思ったことなんだけど、『台風クラブ』のラストの「これが死だ!」について、今回観て、これまでの自分の見解とは明らかに違う観方が僕はできたということがあった。それまではあの少年の飛び降りた後の地面への突き刺さり方(両足をV字にして上半身が泥に埋まっている)があからさますぎてギャグに見えちゃってたんだけど、つまり、少年が最後死んでいるのか、いないのか、という物語的な視点で以前は観ていて、そこで判断ができなかったんだなぁと。でも今回、「あ、死んでいる、けど少年役の俳優は生きてる」ということに気づけた。当たり前のことですが。映画(フィクション)は生きている身体で死んだ状態を見せることができるから映画なんだと。
まぁ簡単に言うと、今回でっかいスクリーンで観たら、ビデオでは分からなかったんだけど、V字の足がかすかにユラユラ動いてんですよ。それで「おおーそうか」と。
青木
でも確かに、あの「死」の突き刺さり方はインパクトが強すぎですよ。あの映画を観て以来、映画にああいうインパクトばかり求めてしまってます。
誠一
それはそれでたいへんだなぁ(笑)。
青木
なかなか観ないんですよね、ああいうの。
誠一 いや、だからさ、今年もあるんだよな、新京極映画祭。どうしよう…
青木
とりあえず公開されてる映画を観ていくしかないですね…
そこからでしか作品を見つけることは出来ないのかもしれません。じゃなきゃ、どうしてもノスタルジーかアートに向かってしまうような気がするんですよね。
誠一
ノスタルジー、アートって京都では2大集客要素だけどね。客層もひっくり返さなければならないのか。
青木
ひっくり返すって感じじゃないと思うんですけどね。何というか、もう単純に呼び込むって感じのような気がします。スピルバーグなんか相変わらず巧いことやるなあと思いますけどね。あれだけのお客さんを集めて、嫌な感じをダイレクトに植えつけるんですよ。 |
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4:閑話休題
誠一
じゃぁ話変わるけど05年の公開作どうでした?ちょっと一息タイムみたいですが
青木
この前『ザスーラ』を観たんですけど、面白かったですね。普通のSFアドベンチャーだったんですけど、お客さんは全然入ってなかった。『Mr&Mrsスミス』よりも断然良かったと思うんですけど。
誠一
『ザスーラ』みたいな普通に面白い映画って今や貴重になってしまった感がある。客が入らないからだろうか。『ステルス』も『バタフライ・エフェクト』も普通に面白いけどな。みんなコケてる。「普通に面白い」というのは話題にもならないし、観られなくなってくるんだろうか。お客が「見つけよう」としなくなってるのかな。『バッド・エデュケーション』とか『2046』なんかもよかったけど。結局『TAKESHI’S』は世間は無視なのか?
青木
かもしれないです。作品を見つけることに贅沢を感じないのかな。実際ここらへんの「普通」の映画はあまり話題にならないんですよね。どれも「今年の一本」って感じじゃないという印象があります。どうしても『ミリオンダラー・ベイビー』『アワー・ミュージック』『ライフ・アクアティック』、あとは『宇宙戦争』。『宇宙戦争』はちょっと違うか…。
誠一
個人的には、『この胸いっぱいの愛を』と『キング・コング』で妙に2005年を意識したんだけど、何なんだろう。象徴的というか。『カナリア』『ロード・オブ・ザ・リング』などでは感じない、2005年の今、劇場でこれを見てるんだな、という実感が高まったこの2本。
『ミリオンダラー・ベイビー』『アワー・ミュージック』『ライフ・アクアティック』『オペレッタ狸御殿』とかは、きっと2005年という括りにできないんじゃないかしら。『エレニの旅』も含めて。みんなすごいんだけど、「05年のこの一本」って感じじゃない気がする。『宇宙戦争』は3回観たけど(笑)。なにか、並べたらすごいラインナップ、けど、まるでばらばらな印象で、日本映画は特に僕らの現実と公開される映画が距離があるように感じる。
青木
振り返って確認するって感じじゃないのかもしれません。
誠一
まだ続いてるんだろうか。2006年も2005年をひきづっていくということでもないしなぁ。これが“希薄”ってことなのか?
青木
『スターウォーズ』のシリーズが完結したのも去年を振り返るとありますね。DLP上映で観てみたかったです。感触がフィルムと全然違ったんだろうな。
誠一
DLP、次のチャンスは『インディ・ジョーンズ4』の時かな。ということでそろそろ話を戻して― |
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5:CINEMA ENCOUNTER SPACE協力 連続オトナ企画
『NDU!日本ドキュメンタリスト・ユニオン・レトロスペクティブ』
青木
次は真夜中のシネマテークですかね。
誠一
『NDU!日本ドキュメンタリスト・ユニオン・レトロスペクティブ』ですが、一応注釈しておきますと、この別称“真夜中のシネマテーク”は主催がマルチスクリーン・プロジェクトになります。NDUの布川徹郎さんをはじめ、僕やプラネットの安井さんやらの数人があつまって、なんかやろうと企んでいる集団(破壊的結社ではない)。04年から撮影とかもしていたんだけども、方向性が見えなくなってきたので、今後の展開と、今の観客とどういうふうに接点がもてるのかということのために、布川さんの映画を見返しておさらいしていこうという企画です。隔週で木曜に京都・木屋町「JAZZ
in ろくでなし」、土曜に大阪・北新地「BAR 際」にて各9回開催。酒井隆史さん(社会学)から柴田剛さん(『おそいひと』監督)まで、ゲストも多彩に呼応してくれました。
今の実感としては、終わってみれば、大きく世界が変わったような気もするし、さて、これからどうしたものかな、という気にもなっている不思議な気分。
青木くんはろくでなしの方に何度かお客として来てくれたと思うけど、どうだった?『アジアはひとつ』はみんなして圧倒されたね。
青木
あれはショックでしたね。
誠一
ショックだった。あれだけ、僕らはもとより、布川さんですらこれまで観れなかったんだから。フィルムなくして。
青木
フィルムをなくすってとんでもない話ですよね。
誠一
音なしの16ミリネガとボロボロのシネテープが偶然去年見つかって、ようやくビデオで復元できたわけで。ヤマガタでもそれでやったし。
あれだけでもプリントつくりたいんだけど、修復も含めて結構ゼニがかかってしまうので、途方にくれてますが、あれでこれまでのドキュメンタリーあるいは映画の概念が覆ったものね。
というか、想像はできたけど、実際あるんだこういうことが、というのをまざまざと見た、という感じ。
UFOとかイッシーを生で見ちゃったような。
青木
オープニングのタイトルもなし、エンディングのクレジットもなし、映画の中での字幕とかでの説明も一切なし。ひたすら映像と音の放射。意味もギリギリのところでしか把握できない。蹂躙されてる気分でしたね。
でも、この映画はこれで正解だったと思います。これ以上説明的な叙述がなされるとあの攻撃力・破壊力がなくなってしまうような気がします。
誠一
ずっと9回通してフィルムを見てきて分かったけども、布川さんの映画って、映画をつくる側の行動そのもの、感情そのものの揺らぎのドキュメントでもあって、それが緊張感(あるいは弛緩)として出てくるんだと思う。
緊張と弛緩の揺れ幅がそのまんま出るというのが、「編集」でつくられる「物語」をあからさまに否定して、映画でなくてもかまわない、けどドキュメントたらんとする意思であって、「映画をつくる」「作品をつくる」ということに対する反逆を前提のこととしているというのがまず理解するのに時間がかかった。布川さんがよく言う「たまたま映画だったんだよ」というのはそういうことかな。
青木
僕はいまだに理解できてないですね。怖いことに、この映画を見たあと、案外『アジアはひとつ』みたいなものが本来は当たり前なんじゃないかと思ってしまったんです。極端な意見ですけども。
ギリギリのところであらすじさえ保持していれば、あとはどういう編集をしても大丈夫なんだと思わされたんですよ。とは言っても、『アジアはひとつ』みたいな緊張感はなかなか味わえないと思います。あんな映画が当たり前になったら世の中わけ分かんなっちゃいますね。
誠一
大阪の会場で出た言葉だけど、「実践的惰性体」なんだそうです。NDUは。「うわぁ、なんだか至言だ!」と。こういうナイフが時たま刺さってくるわけ。僕なんかはどっちかというと「怠惰な勤労者」って思う(だからダメなんだおれは)。
とにかく、正直なところ、これまで自分が築いてきた概念とか方針がひっくり返されて、なんども思考が振り出しにもどったりもしたけども、へこんだりキレたり精神的な泥沼にハマり込んで行くと、ある瞬間、鋭利なナイフがこめかみに差し込まれることがある。その予測のつかなさに悶絶するままやり抜けた直後なので、まだよく整理できてない感じが僕はあります。
でも最終的には「マルチスクリーン」やるんだということです。なせばなる。なるようになる。
青木
それで、ようやく現在やっている「ジャーマンシネマシンドローム」になるんですね。 |
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6:CINEMA ENCOUNTER SPACE vo.19
「ジャーマンシネマ・シンドローム+極楽特集ルビッチュ/ルビッチ・タッチ!」
誠一
CINEMA ENCOUNTER SPACE
vo.19「ジャーマンシネマ・シンドローム+極楽特集ルビッチュ/ルビッチ・タッチ!」。クリスマスに第一弾やって、テスト中に第二弾。若者には過酷な日程かな(笑)
青木
過酷じゃないですよ!楽勝なはずです
誠一
安いしね!
青木
そうですよ!破格なんですから!学生がオールパスを買ったら、作品一本あたりの値段はいくらになるっていう話ですよ。
誠一
05年の流れの最後としては、こういう定期的なすぱっとした長期シネクラブ企画をやっとかないかんですよね。だから今回はパンフなし、上映時の前説なし。妙なストイックさはあるけどね。オーディナルなかたちの“ザッツ上映会”ですね。
青木
それにしても、本当に不思議なラインナップですよね。
誠一
いつ誰に「なんで『断絶』はいってんの?」って聞かれるかとドキドキしてるんだけど、誰も聞いてこない(笑)。
青木
聞いてこない。全く関係ないはずなのに。
誠一
こないだのアンケートで「セレクトが妙だ」とは書かれていたようだけども。
僕は『アンダルシアの犬』をパリではじめてスクリーンにかけた時のブニュエルのような気持ちで侍っているんですが。
青木
まあいろいろと理由はあるんですよね。
プログラムの組み立てるときにいろんな障害があったんですよ。その反映というか、名残が『断絶』なわけで。
誠一
最初、『ドイツ、アメリカ、ヴェンダース!(仮)』だったからね、企画タイトル(笑)。
青木
『断絶』の裏側にはある作品が埋まっているんです。言えませんが。
「ジャーマンシネマ・シンドローム」というタイトルが付くまでの道のりは正に紆余曲折でした。
誠一
ようやくはじまった第一弾は1本目の『死滅の谷』のろうそくと3本目の『ニコライ教会』のろうそくで聖夜にふさわしく一回りした感があって、「ああ、やっぱり永劫回帰するんだ」と思っちゃったけどね。上映するまで『ニコライ教会』見てなかったんだけど。
ロビーに貼ろうと思ってたヴェンダースのポスターも、ロビーにばかでかい絵が二枚先に展示してあって貼れなかったから会場の中の壁に貼ったんだけど、結構壮観だったね。何枚あったんかな。15枚ぐらい?
(※協力:神戸アートビレッジセンターさん、RCSさん、京都シネマさん、です。多謝。)
青木
そのぐらいはありましたね。
『パリ、テキサス』のポスターは衝撃的でしたよ。デスバレーにナスターシャ・キンスキーの顔が浮かんでる(笑)
誠一
あのナスターシャと『まわり道』のナスターシャって別人だよ。
青木
全然違いましたね。ハーモニカかなんか吹いてて普通のあどけない子供だった。
誠一
人生って何が起こるかわからんな。
青木
『緋文字』や『都会のアリス』のイェラ・ロットレンダーも今はナスターシャ・キンスキーみたいな立派な女になっているんでしょうね。今でも映画に出てるんでしょうか。
誠一
今のナスターシャ・キンスキーが立派な女かどうかはわからんが…立派な肉体派?
…まぁまだこの企画は第一弾経過した段階でしかないので、気は抜けないですよ。これから字幕投影作業とか出てくるし。2月の第四弾とルビッチ・デイズがいちばんたいへんだろうな。この場を借りて、興味のある方はスタッフ参加をぜひ!(こちらまで→
en_space@hotmail.com)
青木
お願いします!
誠一
第二弾はダグラス・サークの命日(1月14日)に『南の誘惑』をやります。合唱。 |
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7:CINEMA ENCOUNTER SPACE vo.20〜
we are so close encountering some kind of
special…
誠一
で、いよいよ未来の話になりますが、ジャーマンシネマを極めたあとは、3月末に吉田喜重監督大特集になる予定です。思い起こせば大阪で吉田監督と岡田茉莉子さんに取材させていただいてから、1年半ごしの企画実現になります。
CINEMA ENCOUNTER SPACEvol.20、つまり20回記念特別企画!かつてないほどに、大きくやります。
青木
関西では初お目見えのドキュメンタリー作品が観れるんですよね。壮絶な作品群だと聞きます。
誠一
もちろん吉田監督もお呼びします。劇映画もやります。
『美の美』シリーズは名古屋で観て、孤独に静かな衝撃に貫かれました。極楽と奈落の両極が同地平に出現して反宇宙が開けてしまったような…
青木
よく分かんないけどスゴイ表現してますね。『エクソシスト3』みたいです
誠一
今はまだ語らずにおきます。来るべき「遭遇」のために…
青木
『エクソシスト3』で終わっちゃマズイでしょう(笑)
誠一
そうか…どう言ったらいいんだろう…たとえば…
誕生と同時に死を見る、極限まで圧縮された作用と反作用の衝突、つまりそれは“煉極”…}
青木
…とにかく、いろいろ想像をめぐらして来るべき遭遇を待つとしましょう。僕はまだ観てないので。
誠一
そうです。乞うご期待!
ということでみなさま、2006年もCINEMA ENCOUNTER SPACEをヨロシクお願いします。 |
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